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会社のホームページは制作会社が用意したサーバーで動いていて、そこは触りたくない。けれど「info@自社ドメイン」のメールを社員5人分そろえたい。こうした場面で調べ始めると、レンタルサーバーの比較記事ばかりが出てきて、肝心の「今あるサイトを止めずにメールだけ独自ドメインで作る手順」がなかなか見つかりません。この記事は各社の優劣を比べる比較記事ではなく、法人が独自ドメインメール(会社のドメインを使った info@ や sales@ のメールアドレス)を実際に作るまでの段取りをまとめたものです。
結論から言えば、選ぶ基準は「サイトとメールを同じ会社に置くか、別の会社に分けるか」の一点に集約されます。そしてどちらの構成を採るにしても、切り替えの要になるのがMXレコード(そのドメイン宛のメールをどのサーバーへ配達するかを指定するDNSの設定)です。ここさえ理解しておけば、ホームページを一切さわらずにメールだけ移すことも、逆にメールだけ別会社へ逃がすこともできます。以下、全体像から順に手順を追います。
独自ドメインメールは「ドメイン・サーバー・MXレコード」の3つで動く
独自ドメインメールを作るには、部品が3つそろっている必要があります。1つ目はドメイン(会社の住所にあたる example.co.jp のような文字列)、2つ目はメールを受け持つサーバー(メールを保管し送受信する場所)、3つ目がMXレコード(そのドメイン宛のメールをどのサーバーへ届けるかの案内板)です。
多くの人がつまずくのは、ドメインとサーバーを別々の会社で契約しているケースです。たとえばドメインはお名前.comやムームードメインで取り、サーバーはエックスサーバーやロリポップで借りている、という組み合わせです。この場合、メールサーバー側で「info@自社ドメイン」の箱を作っただけではメールは届きません。ドメインを管理している会社側で、MXレコードを「メール用に借りたサーバー」に向け直す作業が別途必要になります。この一手間を飛ばすと「アドレスは作ったのに一通も来ない」状態になります。
サイトとメールを別会社に置く構成という選び方
法人でよくあるのが、ホームページはすでに制作会社の管理下にあり、そのサーバーの管理画面を触る権限が自社に無い、という状況です。ここで役立つのが、サイトとメールを別々の会社に置く構成です。
MXレコードはドメイン単位で「メールの配達先」だけを指定します。ウェブサイトの表示先を決めるのは別のレコード(AレコードやCNAME)なので、MXレコードだけをメール用サーバーに向ければ、ホームページの表示先はそのまま維持できます。つまり「www.自社ドメインを開くと制作会社のサーバーのサイトが表示され、自社ドメイン宛のメールは自社が借りたメールサーバーに届く」という分離が成り立ちます。ホームページの引っ越しや作り直しをしなくても、メールだけ独自ドメイン化できるわけです。
| 構成 | サイトの置き場所 | メールの置き場所 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 同居(1社にまとめる) | レンタルサーバーA | 同じサーバーA | これから自社でサイトもメールも新規に立ち上げる |
| 分離(別会社に置く) | 制作会社などのサーバー(現状維持) | 自社が借りたメール用サーバー | サイトは触れない・触りたくないが、メールだけ独自ドメインにしたい |
費用面では、サイトとメールを同居させたほうが契約は1本で済み管理は楽です。共用レンタルサーバーの多くはメール機能を標準で含むため、たとえばさくらのレンタルサーバ ライトなら12ヶ月契約で月165円(36ヶ月一括なら月121円)といった価格帯からメールも一緒に使えます(2026年9月時点・公式サイト確認)。一方で分離構成は契約が2本になり管理は増えますが、ホームページの制約から自由になれるという利点があります。どちらを土台にするかは、この記事の後半の判断フローで整理します。
独自ドメインメールの作り方(手順)
手順1:ドメインとメールサーバーの契約状況を確認する
まず、自社のドメインを「どこの会社で管理しているか」を確認します。ドメインを取得した会社(レジストラ)の管理画面にログインでき、DNS設定(MXレコード等を編集する画面)を開ける権限があるかどうかが分岐点です。制作会社にドメインごと預けている場合は、DNSを編集してもらう依頼が必要になります。次に、メールを受け持たせるサーバーを決めます。同居構成なら現在のレンタルサーバー、分離構成なら新たに借りるメール向けサーバーです。
手順2:メールサーバー側でメールアカウントを作る
借りたサーバーの管理画面で、独自ドメインをメール用に登録し、「info@自社ドメイン」「sales@自社ドメイン」といったアカウントを人数分作成します。この時点ではまだMXレコードを切り替えていないので、対外的にメールは届きませんが、箱だけは先に用意しておきます。作成時にパスワードとメールボックス容量を設定します。
手順3:MXレコードを切り替える
ドメインを管理している会社のDNS設定画面で、MXレコードをメールサーバーが指定する値(各社の管理画面やマニュアルに記載されています)に書き換えます。ここが独自ドメインメール作成の要です。書き換えが世界中のDNSに反映されるまでには時間差があり、数十分から長いと24〜48時間ほどかかることがあります。この反映待ちの間は、新旧どちらのサーバーにメールが届くか不安定になるため、切り替えは業務への影響が少ない時間帯に行うのが無難です。
手順4:メールソフトに設定して送受信を確認する
OutlookやスマートフォンのメールアプリにアカウントID・パスワード・受信サーバー・送信サーバーを登録し、自分の別アドレスとの間でテスト送受信をします。送信・受信の両方が通って初めて完了です。ここでの受信サーバー名や送信ポート番号の入れ方、届かないときの切り分けは個人向けサーバー3社の総額を比べた比較記事とあわせて、当サイトのメール設定の記事で具体的に触れています。
法人でメールサーバーを選ぶときに見る項目
法人の場合、料金の安さより先に確認したいのが次の3点です。
- メールアカウントの作成上限:社員数や部署アドレス(info・sales・support など)を作れるだけの数があるか。共用レンタルサーバーはアカウント数の扱いが会社・プランで異なります。
- 1アカウントあたりのメール容量:受信を溜める運用なら容量が足りるか。上限に近づくと新着が受け取れなくなります。
- 送信数の上限:見積もりや案内を一斉送信する法人では、1日あたりの送信制限に当たることがあります。
これらは各社の料金ページよりも機能仕様ページに書かれていることが多く、契約前に必ず自社の人数・運用に足りるかを突き合わせておくことをおすすめします。共用サーバーで足りない規模になると、法人向けメールサービス(Microsoft 365 など)を別途検討する段階に入ります。
同居か分離か、迷ったときの判断フロー
どの構成で作るかは、次の条件を上から順に当てはめると決まります。
- 今あるホームページのサーバーを自社で触れる(管理画面にログインできる)か。 → 触れて、そこにメール機能があるなら「同居」で完結。追加契約は不要です。
- 触れない、または制作会社の管理下にあるか。 → メールだけ別会社で借りて「分離」構成にし、MXレコードだけを切り替える。ホームページは現状維持できます。
- 社員・部署アドレスが多く、送信数も多いか。 → 共用レンタルサーバーのアカウント上限・送信制限で足りるかを先に確認し、足りなければ法人向けメールサービスを検討する。
多くの中小企業は、まず「同居できるか」を確認し、サイトが制作会社の管理下で触れない場合に「分離」を選ぶ、という順路になります。分離を選ぶ場合でも、ドメインのDNSを自社で編集できるか(あるいは制作会社に依頼できるか)が実行できるかどうかの分かれ目です。
よくある質問
ホームページを止めずにメールだけ独自ドメインにできますか。
できます。MXレコードはメールの配達先だけを指定し、ウェブサイトの表示先は別のレコードで管理されているためです。MXレコードだけをメール用サーバーに向ければ、ホームページはそのまま表示され続けます。
MXレコードを書き換えると、すぐにメールが届くようになりますか。
すぐには反映されないことがあります。DNSの変更が広く行き渡るまで数十分から24〜48時間程度かかる場合があり、その間は新旧サーバーへの配達が不安定になります。業務影響の小さい時間帯に切り替えるのが安全です。
ドメインとサーバーが別会社でも独自ドメインメールは作れますか。
作れます。ただしメールサーバー側でアカウントを作るだけでは届かず、ドメインを管理している会社の側でMXレコードをメールサーバーへ向け直す作業が別に必要になります。この一手間を忘れると届きません。
社員が増えたときにメールアドレスは追加できますか。
プランごとに作成できるアカウント数の上限が決まっているため、上限内であれば管理画面から追加できます。上限に達している場合は上位プランへの変更が必要です。契約前に自社の想定人数に足りる上限かを確認しておくと安心です。
制作会社にサイトを任せていて管理画面に入れません。どうすればいいですか。
その場合はメールだけ別会社で借りる分離構成が向いています。ただしMXレコードの書き換えにはドメインのDNS編集権限が要るため、制作会社にDNS変更を依頼するか、ドメインの管理を自社に戻せるかを確認してください。
メールソフトに設定したのに受信できません。
MXレコードの反映がまだ終わっていない、受信サーバー名やポート番号の入力に誤りがある、パスワード違い、といった原因が考えられます。サーバー側の設定と端末側の設定を分けて切り分けると原因を特定しやすくなります。当サイトのメール設定の記事に手順があります。
参考・出典
- エックスサーバー 機能一覧(メール機能・独自ドメイン設定):https://www.xserver.ne.jp/functions/
- ロリポップ! 機能一覧(メール・独自ドメイン):https://lolipop.jp/service/function/
- さくらのレンタルサーバ プラン・料金:https://rs.sakura.ad.jp/plan/
- ConoHa WING 機能一覧:https://www.conoha.jp/wing/function/
